月はなぜ形が変わるの
4年生の理科の学習に『月や星の動き』があります。月や星は,太陽と同じように東から昇って南の空を通り,西に沈むということを学習します。
今日の理科では,まず,月のことについて知っていることや聞いたことなどを自由に発表することから始めました。そうしたら,写真の通り,いろいろな意見が出てきました。中には,『太陽が西に沈んだ後,同じ西の方から月が出てくるのを見たよ!』と言い張り一歩も譲らない子もいました。この子の説得は日を改めることにして次に進みました。最後に出た意見は『月の形は日によって変わる』というものでした。
そこで,次のステップとして,『なぜ形が変わるのか?』についてみんなで考え,予想を発表し合いました。本来,月の満ち欠けの原理については,6年生で扱う内容です。しかし,授業の流れの中で,子どもたちの疑問が集中したため,あえて取り上げてみました。
出てきた意見は写真の通りです。雲で隠されて満ち欠けをするという意見や,ウサギが食べたり吐きだしたりするという意見が出てきました。後者については,若干冗談交じりのような気がしますが,『月にウサギは住めないと思う』といった真剣な反論も出てきたので,子ども達にとってはまじめな議論だったのかもしれません。
では,この後,授業者はどうしたでしょう?
こどもたちの発想が行き詰って,これ以上のアイデアが出てきません。そんなとき我々教師は,直接答えを言うのではなく,若干遠回りな方法で,なおかつ子ども達が自ら答えを見出した時に出る『あぁ~,そうだったのか!』といった感嘆の声を引き出す工夫を行います。今回の場合は,『地球照』を見せるという工夫でした。
http://mo.atz.jp/img_earthshine/index.htm
これらの写真を見れば一目瞭然です。月の満ち欠けの原因は,雲にかくれているわけでもなく,ウサギが食べたわけでもないことがすぐに理解できます。そして,ある方向から強い光に照らされていることにも気がつきます。そして,その光とは『太陽』であることが容易に予想できます。
今日の理科は,『地球照』を落とし所にして授業を構成してみました。落とし所を見誤ると,『あぁ~,そうだったのか!』といった感嘆の声ではなく,『えー,よく分からない!』といった容赦のない声が飛んできます。こうしたことから,何年教員をしていても『授業』は奥が深くて難しいなあと思います。だからこそ面白いのかもしれません。